第二種電気工事士(学科)/一般問題

配電方式と電圧降下・電力損失:単相2線式・単相3線式・三相3線式

低圧の3つの配電方式の違いと、電圧降下・電力損失の式が方式ごとに変わる理由、単相3線式が不平衡のときや中性線が切れたときの電圧を、例題で順に説明します。

低圧の配電方式にはどんな種類がある?

住宅や小さな店舗で使う低圧の配電方式は、主に単相2線式、単相3線式、三相3線式の3つです。どれも変圧器から負荷まで電線で電気を送りますが、電線の本数と取り出せる電圧が違います。

単相2線式は2本の電線で100V(または200V)を送る方式です。単相3線式は電圧線2本と中性線1本の3本で、電圧線と中性線の間から100V、電圧線どうしの間から200Vを取り出せます。エアコンやIHクッキングヒーターの200Vと、照明やコンセントの100Vを1つの引込みでまかなえるのが単相3線式の利点です。

三相3線式は3本の電線で三相交流を送る方式で、200Vの電動機を使う工場や店舗の動力設備に使われます。

単相3線式の中性線は変圧器の低圧側の中性点につながり、中性点にはB種接地工事が施されます(電技解釈第24条)。そのため中性線と大地の間の電圧はほぼ0Vで、電圧線と大地の間は100Vです。

単相2線式電線2本100V電圧降下 2Ir電力損失 2I²r単相3線式電圧線2本+中性線1本B種接地工事電圧線A中性線N電圧線B100V100V200V電圧降下 Ir(負荷が平衡のとき)電力損失 2I²r三相3線式電線3本どの2線間も200V200V電圧降下 √3Ir(線間電圧の降下)電力損失 3I²rr=電線1本の抵抗、I=電線に流れる電流(負荷の力率は1とする)
低圧の3つの配電方式。電圧降下の係数(2・1・√3)と電力損失の係数(2・2・3)は並びが違う

電圧降下の式はなぜ方式ごとに違う?

電圧降下は、電線の抵抗rに電流Iが流れて生じる電圧の差で、電源側の電圧から負荷側の電圧を引いた値です。負荷の力率を1とすると、単相2線式は2Ir、単相3線式(負荷が平衡)はIr、三相3線式は√3Ir で表します。rは電線1本の抵抗です。

単相2線式では、電流が行きの電線と帰りの電線の2本を通るので、2本分の2Irが下がります。単相3線式で両側の負荷が平衡していると、中性線には電流が流れず、100V側から見ると電圧線1本分だけが下がるのでIrです。

三相3線式の√3Irは、各電線の電圧降下Irが120°ずつずれた位相で重なり、線間では√3倍として現れるためです。三相3線式の電圧降下は「線間電圧がいくら下がるか」を表しています。

電線1本の抵抗rは、こう長(電源から負荷までの片道の距離)と1kmあたりの抵抗から求めます。1kmあたり5Ωの電線でこう長が20mなら r=5×20÷1,000=0.1Ω です。往復分の2倍は式の係数で数えるので、rを求める段階で2倍にしないように気をつけます。

こう長 30m電源102V負荷94.8V20A20A3.6Vr=0.18Ωr=0.18Ω3.6V電線1本の抵抗 r=6.0×30÷1,000=0.18Ω(1kmあたり6.0Ω)電圧降下=2Ir=2×20×0.18=7.2V → 負荷の電圧 102−7.2=94.8V
電流は行きと帰りの2本を通るので、電線2本分の2Irだけ電圧が下がる

例題:単相2線式の負荷の電圧を求める

単相2線式で、電源側の電圧が102V、こう長30m、負荷電流20A。電線の抵抗は1kmあたり6.0Ω、負荷の力率は1とする。

  1. ① 電線1本の抵抗 r=6.0×30÷1,000=0.18Ω
  2. ② 電圧降下 2Ir=2×20×0.18=7.2V
  3. ③ 負荷の電圧 102−7.2=94.8V

答え:94.8V

よくある間違い:電線1本分のIrだけ引くと98.4Vとなり、電圧降下を半分に見積もってしまいます。

単相3線式が不平衡のときの電圧はどう求める?

両側の100V負荷の電流が違うと、差の電流が中性線に流れます。A側に25A、B側に15Aなら中性線には10Aが流れ、中性線の抵抗でも電圧が下がります。

このとき、電流の多いA側の負荷は「電圧線の降下+中性線の降下」の分だけ電圧が下がり、電流の少ないB側の負荷は「電圧線の降下−中性線の降下」になります。中性線の電流の向きが、A側の回路とB側の回路で逆になるためです。

電圧線AとBの間の200V負荷の電流は、電圧線だけを通って中性線を通りません。中性線の電流は、100V負荷の電流の差だけで決まります。

104V104V0.2Ω0.2Ω0.2ΩA側 97VB側 103V電圧線A 25A中性線 10A電圧線B 15AA側の回路B側の回路A側:104 − 25×0.2 − 10×0.2 = 97V中性線の電流がA側の回路と同じ向き → 中性線の降下も引くB側:104 − 15×0.2 + 10×0.2 = 103V中性線の電流がB側の回路と逆向き → 中性線の降下は足す
黒い矢印が実際の電流、色の点線が各100V回路の向き。中性線の10Aの向きで引き算・足し算が決まる

例題:不平衡のときの両側の電圧を求める

単相3線式100/200Vで、電源側の電圧は両側とも104V。A側の100V負荷に25A、B側の100V負荷に15Aが流れる。電線1本の抵抗はすべて0.2Ω、負荷は抵抗負荷とする。

  1. ① 中性線の電流 25−15=10A
  2. ② A側の負荷電圧 104−25×0.2−10×0.2=104−5−2=97V
  3. ③ B側の負荷電圧 104−15×0.2+10×0.2=104−3+2=103V

答え:A側97V、B側103V

よくある間違い:中性線の電圧降下をB側でも引いてしまうと99Vとなり誤りです。B側では中性線の電流が負荷電流と逆向きなので、足し算になります。

中性線が断線すると何が起きる?

単相3線式で中性線だけが切れると、A側とB側の100V負荷が直列につながったまま、電圧線AとBの間の200Vがかかります。2つの負荷は抵抗の比で200Vを分け合うので、両側の負荷が等しくない限り、どちらかに100Vより高い電圧がかかります。

消費電力が小さい機器ほど抵抗が大きいので、消費電力の小さい負荷に高い電圧がかかります。100V・200Wと100V・1kWの抵抗負荷なら、抵抗は50Ωと10Ωで、200Vが約167Vと約33Vに分かれます。200W側の機器には定格の約1.7倍の電圧がかかり、焼損のおそれがあります。

電技解釈第149条第3項は、住宅の屋内に中性線のある低圧分岐回路を施設することを原則として認めていません。例外は、1台の機器への専用の配線とする場合、中性線が欠けても機器に異常電圧がかからないように施設する場合、中性線が欠けたときに自動的かつ確実に遮断する装置を付ける場合です。

正常時100V100V800W12.5Ω1.2kW8.33Ω100V100Vどちらの負荷にも100V中性線が断線100V100V800W12.5Ω1.2kW8.33Ω120V80V200V9.6A2つの負荷が直列になり、200Vを分け合う200÷(12.5+8.33)=9.6A消費電力の小さい負荷(800W)に高い電圧(120V)がかかる
中性線が切れると2つの100V負荷が直列になり、抵抗の比で200Vを分け合う

例題:中性線が切れたときの両側の電圧を求める

単相3線式100/200Vで、A側に100V・800Wの抵抗負荷、B側に100V・1.2kWの抵抗負荷がつながっている。電源側の電圧は両側とも100V、電線の抵抗は無視する。中性線が断線した。

  1. ① 各負荷の抵抗 A側 100²÷800=12.5Ω B側 100²÷1,200≒8.33Ω
  2. ② 直列の電流 200÷(12.5+8.33)=9.6A
  3. ③ 各負荷の電圧 A側 9.6×12.5=120V B側 9.6×8.33≒80V

答え:A側(800W)120V、B側(1.2kW)80V

よくある間違い:「消費電力の大きい負荷に高い電圧がかかる」と逆に覚えていると、答えが入れ替わります。A側の800Wの負荷は、120Vで約1,150Wを消費し、定格を超えます。

電力損失はどう計算する?

電力損失は、電線の抵抗で熱として失われる電力です。電線1本あたり I²r で、電流が流れる電線の本数を掛けます。単相2線式は2I²r、単相3線式で負荷が平衡していれば中性線に電流が流れないので2I²r、三相3線式は3本すべてに電流が流れるので3I²rです。

電圧降下の係数(2・1・√3)と電力損失の係数(2・2・3)は並びが違います。電圧降下は電圧の差、電力損失は電線ごとの発熱の合計と、別のものを数えているからです。

同じ電力を送るなら、電圧を上げて電流を小さくすると、損失は電流の2乗で減ります。100Vの負荷を単相3線式の両側に平衡させて分けると、電圧線の電流は単相2線式100Vの半分になり、損失は4分の1になります。

単相2線式電圧降下 2Ir/電力損失 2I²r
単相3線式(負荷が平衡)電圧降下 Ir(100V側)/電力損失 2I²r
三相3線式電圧降下 √3Ir(線間)/電力損失 3I²r

例題:三相3線式の電力損失を求める

三相3線式で線電流25A、電線1本の抵抗0.12Ω。

  1. ① 電線1本の損失 25²×0.12=75W
  2. ② 3本分 3×75=225W

答え:225W

よくある間違い:√3I²rとすると約130Wとなり誤りです。√3は電圧降下の式にだけ出てきます。

職場ではどう使う?

電力会社が電気を供給する場所で維持する電圧は、標準電圧100Vなら101Vの上下6V以内、200Vなら202Vの上下20V以内と決められています(電気事業法施行規則第38条)。屋内配線の電圧降下はここからさらに差し引かれるので、分電盤から遠い負荷ほど電線を太くして降下を抑えます。

分電盤から25m先に20Aの回路を引く場合、直径2.0mmの電線(1本あたり約0.14Ω)なら、単相2線式100Vで約5.5Vの降下になります。同じ電力の機器を200Vで使えば電流は半分の10Aで、降下は約2.7Vです。大容量の機器に200Vが選ばれる理由の1つがここにあります。

中性線の断線は、分電盤の中性線の端子のゆるみや接続不良で起きることがあります。主幹に中性線欠相保護付の漏電遮断器(中性線が欠けたときに電路を遮断する機能をもつもの)を使えば、100V機器に異常電圧がかかる前に回路を切れます。電技解釈第149条第3項が挙げる「中性線が欠損したときに自動的かつ確実に遮断する装置」に当たる使い方です。

試験ではどう問われる?

電圧降下では、負荷側の電圧を問う形と、電圧降下そのものを問う形があります。誤りの選択肢は、方式の係数を入れ替えた値(単相2線式にIr、三相3線式に2Ir)、こう長を往復分として2倍し、式でもう一度2倍した値、電源電圧に降下を足した値などです。

単相3線式では、不平衡のときの両側の電圧と中性線の電流、中性線が断線したときの電圧が問われます。中性線の電流に200V負荷の分を含めた値や、断線時に消費電力の大きい負荷のほうが高電圧になるとした値が誤りの選択肢に並びます。

電力損失では、電圧降下の係数をそのまま使った√3I²rや、平衡時の中性線にも電流が流れるとした3本分の値に注意します。

よくある質問

単相3線式の電圧降下がIrになるのはなぜ?

両側の負荷が平衡していると中性線に電流が流れず、100V側の回路で下がるのは電圧線1本分だけだからです。不平衡のときは中性線の電圧降下も加わります。

中性線が切れるとどちらの機器が壊れやすい?

消費電力の小さい(抵抗の大きい)機器です。200Vを抵抗の比で分けるため、小さい機器に100Vを超える電圧がかかります。

三相3線式の電力損失に√3は付く?

付きません。3本の電線それぞれで I²r の損失が出るので 3I²r です。√3が付くのは電圧降下の √3Ir のほうです。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 電気技術者試験センターの公式情報で確認してください。