第二種電気工事士の計算・公式

第二種電気工事士の学科試験では、50問のうち4分の1ほどが計算問題です(TACの過去問分析)。出てくる公式は限られていて、このページの14個で基礎理論と配電理論の計算をひととおり扱えます。電圧降下の係数(単相2線式は2、単相3線式の平衡は1、三相3線式は√3)は取り違えやすいので、例題で手を動かして覚えてください。

オームの法則電気の基礎理論

V=IR(電圧V〔V〕=電流I〔A〕×抵抗R〔Ω〕) I=V/R R=V/I

電圧・電流・抵抗のうち2つが分かれば、残りの1つが決まります。どの計算問題も、最後はこの式に戻ってきます。

例題

100Vの電源に25Ωの抵抗をつないだ。流れる電流は何Aか。

  1. I=V/R
  2. I=100/25=4

答え:4A

よくある間違い:抵抗が大きいほど電流は小さくなります。V=IRを変形するときに、割る数と割られる数を逆にしないように。

合成抵抗(直列・並列)電気の基礎理論

直列:R=R1+R2+… 並列:1/R=1/R1+1/R2+…(2個なら R=R1R2/(R1+R2))

直列は足し算、並列は「和分の積」です。並列の合成抵抗は、いちばん小さい抵抗よりさらに小さくなります。直並列の回路は、並列部分を先に1本の抵抗に置き換えてから直列に足します。

例題

6Ωと12Ωの抵抗を並列につなぎ、その部分に3Ωの抵抗を直列につないだ。全体に42Vを加えたとき、回路全体の電流と12Ωに流れる電流を求めよ。

  1. 並列部分:6×12/(6+12)=72/18=4Ω
  2. 全体:4+3=7Ω
  3. 全体の電流:I=42/7=6A
  4. 並列部分の電圧:6×4=24V
  5. 12Ωの電流:24/12=2A(6Ωには4A)

答え:全体の電流6A、12Ωに流れる電流2A

よくある間違い:並列の合成抵抗をR1+R2としたり、1/Rのまま答えたりする誤りが多い形です。並列部分の電流は、全体の電圧42Vではなく並列部分にかかる24Vで計算します。

導体の抵抗電気の基礎理論

R=ρL/A(ρ:抵抗率、L:長さ、A:断面積) 断面積 A=πD²/4(D:直径)

抵抗は長さに比例し、断面積に反比例します。断面積は直径の2乗に比例するので、直径が2倍になると抵抗は4分の1です。

例題

直径1.6mm・長さ20mの銅線の抵抗が0.18Ωだった。同じ材質で直径3.2mm・長さ60mの銅線の抵抗は何Ωか。

  1. 長さの比:60/20=3倍 → 抵抗は3倍
  2. 直径の比:3.2/1.6=2倍 → 断面積は2²=4倍 → 抵抗は1/4
  3. R=0.18×3×1/4=0.135

答え:0.135Ω

よくある間違い:直径が2倍だから抵抗は1/2とする誤り。抵抗は直径ではなく断面積に反比例します。

電力電気の基礎理論

P=VI=I²R=V²/R(P:電力〔W〕)

抵抗が変わらない電熱器などでは、P=V²/Rから、電力は電圧の2乗に比例します。電圧が0.8倍になると、電力は0.64倍です。

例題

100V・500Wの電熱器を80Vで使ったときの消費電力は何Wか。電熱器の抵抗は変わらないものとする。

  1. 抵抗:R=V²/P=100²/500=20Ω
  2. 80Vのときの電力:P=80²/20=6,400/20=320

答え:320W

よくある間違い:電圧が0.8倍だから電力も0.8倍(400W)とする誤り。電流も一緒に0.8倍になるので、電力は0.8×0.8=0.64倍です。

電力量と発熱量電気の基礎理論

電力量 W=Pt〔kW・h〕 発熱量 Q=3,600Pt〔kJ〕(P〔kW〕、t〔h〕) 水を温める熱量 Q=4.2mΔT〔kJ〕(m〔kg〕、ΔT〔K〕)

1kW・hは3,600kJです。電熱器で水を温める問題は、電熱器が出した熱量に熱効率をかけ、水の比熱と質量で割ると温度上昇が出ます。

例題

消費電力1.5kWの電熱器で、20kgの水を40分間加熱した。熱効率を84%、水の比熱を4.2kJ/(kg・K)とすると、水の温度は何K上がるか。

  1. 電力量:W=1.5×40/60=1.0kW・h
  2. 発熱量:Q=3,600×1.0=3,600kJ
  3. 水に伝わる熱量:3,600×0.84=3,024kJ
  4. 温度上昇:ΔT=3,024/(4.2×20)=36

答え:36K(36℃上がる)

よくある間違い:時間を分のまま(40)で計算しないこと。kW・hの計算では、40分を2/3時間に直します。

交流回路のインピーダンスと力率電気の基礎理論

Z=√(R²+X²) I=V/Z 力率 cosθ=R/Z 有効電力 P=VIcosθ=I²R

抵抗Rとリアクタンス(コイルやコンデンサ)Xを直列につないだ回路は、足し算ではなく直角三角形の斜辺として合成します。電力を消費するのは抵抗だけなので、有効電力はI²Rでも求められます。

例題

抵抗12Ωとコイル(誘導性リアクタンス16Ω)を直列につなぎ、100Vの交流電源に接続した。電流、力率、消費電力を求めよ。

  1. Z=√(12²+16²)=√400=20Ω
  2. I=100/20=5A
  3. cosθ=12/20=0.6
  4. P=100×5×0.6=300W(I²R=5²×12=300Wでも同じ)

答え:電流5A、力率0.6(60%)、消費電力300W

よくある間違い:Z=12+16=28Ωとする誤り。消費電力を100×5=500Wとした場合は、力率をかけ忘れています。

三相交流(Y結線・Δ結線)と三相電力電気の基礎理論

Y結線:線間電圧=√3×相電圧、線電流=相電流 Δ結線:線電流=√3×相電流、線間電圧=相電圧 三相電力 P=√3VIcosθ(V:線間電圧、I:線電流)=1相分の電力×3

Y結線は電圧に√3、Δ結線は電流に√3がつきます。抵抗負荷の三相電力は、1相分の電力を求めて3倍するのが確実です。同じ抵抗をY結線からΔ結線につなぎ替えると、電力は3倍になります。

例題

10Ωの抵抗3個を三相200Vの電源にY結線でつないだ。線電流と消費電力を求めよ。同じ抵抗をΔ結線にしたときの線電流と消費電力も求めよ。

  1. Y結線の相電圧:200/√3≒115.5V
  2. Y結線の線電流(=相電流):115.5/10≒11.5A
  3. Y結線の電力:3×(200/√3)²/10=3×40,000/3/10=4,000W
  4. Δ結線の相電流:200/10=20A、線電流:√3×20≒34.6A
  5. Δ結線の電力:3×200²/10=12,000W(Y結線の3倍)

答え:Y結線:線電流約11.5A・4kW Δ結線:線電流約34.6A・12kW

よくある間違い:Δ結線で相電流20Aをそのまま線電流とする誤り。√3VIcosθで確かめると、Y結線は√3×200×11.55≒4,000W、Δ結線は√3×200×34.64≒12,000Wで一致します。

単相2線式の電圧降下配電理論・配線設計

電圧降下 v=VS-VR=2Ir(VS:送り側の電圧、VR:受け側の電圧、r:電線1本の抵抗、力率1の場合)

電流は行きの電線と帰りの電線の2本を流れるので、電線1本分の降下の2倍になります。

例題

送り側の電圧が104V、電線1本の抵抗が0.15Ω、負荷電流が20A(力率1)の単相2線式の回路がある。受け側の電圧は何Vか。

  1. v=2×20×0.15=6V
  2. VR=104-6=98V

答え:98V

よくある間違い:2をかけ忘れて降下を3Vとし、101Vとする誤り。

単相3線式の電圧降下配電理論・配線設計

負荷が平衡のとき:v=Ir(中性線に電流は流れない) 不平衡のとき:中性線の電流=両側の負荷電流の差

上下の負荷が同じなら中性線に電流が流れないので、降下は電圧線1本分(Ir)だけです。不平衡のときは中性線に流れる電流による降下も加わり、電流の大きい側は電圧が下がり、小さい側はその分上がります。

例題

単相3線式100/200Vの配線で、送り側の電圧は上側・下側とも105V。電線1本の抵抗は3線とも0.1Ω。上側の負荷電流が30A、下側が20A(いずれも力率1)のとき、上側・下側の負荷にかかる電圧を求めよ。

  1. 中性線の電流:30-20=10A(上側の負荷から電源へ戻る向き)
  2. 上側:105-30×0.1-10×0.1=105-3-1=101V
  3. 下側:105-20×0.1+10×0.1=105-2+1=104V
  4. 確かめ:101+104=205V=210-(30+20)×0.1

答え:上側101V、下側104V

よくある間違い:不平衡なのに中性線を無視して、上側102V・下側103Vとする誤り。両側とも30Aの平衡なら、どちらも105-3=102Vになります。

三相3線式の電圧降下配電理論・配線設計

v=√3Ir(線間電圧の降下。r:電線1本の抵抗、力率1の場合)

三相3線式の電圧降下は、電線1本分の降下Irに√3をかけた値です。単相2線式の2Irと混同しやすいので、係数だけ先に覚えます。

例題

送り側の線間電圧が210V、電線1本の抵抗が0.2Ω、線電流が15A(力率1)の三相3線式の回路がある。受け側の線間電圧はおよそ何Vか。

  1. v=√3×15×0.2=1.73×3≒5.2V
  2. VR=210-5.2≒204.8V

答え:約205V(204.8V)

よくある間違い:三相だから3Ir(9V)とする誤り。3がつくのは電力損失(3I²r)の方です。

配電線の電力損失配電理論・配線設計

単相2線式:2I²r 単相3線式(平衡):2I²r 三相3線式:3I²r(r:電線1本の抵抗)

電力損失は、電流が流れている電線の本数×I²rです。単相3線式が平衡なら中性線に電流が流れないので、損失は電圧線2本分です。同じ電力を送るなら、電圧を2倍にすると電流は半分、損失は4分の1になります。

例題

電線1本の抵抗が0.25Ωの単相2線式で、2kWの負荷(力率1)に電気を送る。負荷の電圧が100Vのときと200Vのときの電力損失を求めよ。

  1. 100Vのとき:I=2,000/100=20A、損失=2×20²×0.25=200W
  2. 200Vのとき:I=2,000/200=10A、損失=2×10²×0.25=50W

答え:100Vのとき200W、200Vのとき50W(4分の1)

よくある間違い:損失をI²rとして電線1本分しか数えない誤り。単相2線式は2本、三相3線式は3本です。

単相3線式の中性線が断線したとき配電理論・配線設計

上下の負荷R1・R2が直列になり、200Vがかかる:I=200/(R1+R2)、R1にかかる電圧 V1=200×R1/(R1+R2)

中性線が切れると、上下の負荷は直列につながって200Vを分け合います。抵抗の大きい(消費電力の小さい)負荷に高い電圧がかかり、機器を壊すおそれがあります。

例題

単相3線式100/200Vの配線で、上側に100V・200W、下側に100V・800Wの抵抗負荷をつないでいる。中性線が断線したとき、それぞれの負荷にかかる電圧を求めよ。

  1. 上側の抵抗:100²/200=50Ω
  2. 下側の抵抗:100²/800=12.5Ω
  3. 電流:I=200/(50+12.5)=3.2A
  4. 上側の電圧:3.2×50=160V
  5. 下側の電圧:3.2×12.5=40V

答え:上側(200W)に160V、下側(800W)に40V

よくある間違い:消費電力の大きい負荷に高い電圧がかかると考える誤り。実際は逆で、抵抗の大きい小容量の負荷に高い電圧がかかります。

電線の許容電流(電流減少係数)配電理論・配線設計

管に入れた絶縁電線の許容電流=表の許容電流×電流減少係数(周囲温度30℃以下の場合)

絶縁電線を電線管に入れると熱がこもるので、同じ管に入れる本数に応じて許容電流を減らします。係数は3本以下0.70、4本0.63、5〜6本0.56、7〜15本0.49です(電技解釈146-4表)。

例題

直径2.0mmの600Vビニル絶縁電線(許容電流35A)4本を、同じ金属管に収めて施設する。周囲温度は30℃以下とする。電線1本の許容電流は何Aか。

  1. 4本の電流減少係数:0.63
  2. 35×0.63=22.05

答え:約22A

よくある間違い:4本なのに3本以下の係数0.70を使う誤り。直径1.6mm(27A)を3本以下で収める場合は、27×0.70≒19Aです。

幹線の許容電流と過電流遮断器配電理論・配線設計

電動機等の定格電流の合計IMが他の機器の合計IHより大きいとき 許容電流 IW≧1.25IM+IH(IM≦50A)、IW≧1.1IM+IH(IM>50A) 過電流遮断器の定格 IB≦3IM+IH(2.5IWを超えるときは IB≦2.5IW)

電動機は始動のときに大きな電流が流れるので、幹線の太さと遮断器は電動機の分を割り増して選びます。電動機の合計が他の機器より小さいときは、定格電流の合計以上の許容電流があれば足ります(電技解釈第148条)。

例題

定格電流の合計が40Aの電動機と、合計15Aの電熱器を幹線につなぐ(需要率・力率は考えない)。幹線に必要な許容電流の最小値と、幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の最大値を求めよ。

  1. IM=40A、IH=15AでIM>IH、IM≦50A → 係数1.25
  2. IW≧1.25×40+15=50+15=65A
  3. IB≦3×40+15=135A
  4. 2.5IW=2.5×65=162.5Aで、135Aはこれを超えない → IB≦135A

答え:許容電流65A以上、過電流遮断器135A以下

よくある間違い:電熱器の15Aにも1.25をかける誤り。割り増すのは電動機の分だけです。電動機の合計が50Aを超えると係数は1.1になり、電動機60A・電熱器20Aなら60×1.1+20=86Aです。

よくある質問

第二種電気工事士の計算問題は何問出ますか?

公式には公表されていません。TACの過去問分析では、問1〜問6または問10までが計算問題で、全体の約4分の1とされています。基礎理論と配電理論の分野に集まっています。

電圧降下の公式で2Irと√3Irはどう使い分けますか?

単相2線式は行きと帰りの2本に電流が流れるので2Ir、三相3線式は√3Irです。単相3線式で負荷が平衡していれば中性線に電流が流れないので、Irになります。

計算が苦手でも第二種電気工事士に合格できますか?

学科試験の合格基準は合計60点で、受験案内に分野ごとの基準点は書かれていません。計算問題が解けなくても、残りの問題で60点に届けば合格です。オームの法則や電圧降下のように式1本で解ける問題も多いので、このページの例題から試してみてください。

√3はいくつで計算しますか?

√3≒1.73として計算するのが一般的です。このページの例題も1.73で計算しています(三相3線式の電圧降下 √3×15×0.2≒5.2V)。

例題の数値はすべて当サイトが作成したもので、過去の試験問題の本文・数値は使用していません。