第二種電気工事士(学科)/一般問題

直流回路の計算:合成抵抗・ブリッジ・電線の抵抗・電力と熱量

オームの法則から合成抵抗、ブリッジの平衡、電線の抵抗、電力量と熱量までを、第二種電気工事士の計算問題で使う形でまとめました。

オームの法則と合成抵抗はどう計算する?

電圧V〔V〕、電流I〔A〕、抵抗R〔Ω〕の間には V=IR の関係があります。これがオームの法則で、直流回路の計算はほぼすべて、この式と合成抵抗の求め方の組み合わせです。

直列につないだ抵抗は足し算で、R=R₁+R₂+… になります。並列につないだ抵抗は逆数の和の逆数で、1/R=1/R₁+1/R₂+… です。2個だけなら「積÷和」の R₁R₂/(R₁+R₂) が速く、同じ値の抵抗n個の並列は R/n になります。

直列と並列が混ざった回路は、内側の並列部分から1つの抵抗に置き換えていきます。並列部分を先にまとめ、残った直列を足す順番を守ると、どこから手を付けるかで迷わなくなります。

並列にした抵抗の合成値は、いちばん小さい抵抗より必ず小さくなります。計算結果がこの範囲を外れていたら、逆数に戻し忘れていないかを確かめてください。

+75V3Ω15V20Ω30Ω5A5A3A2A60V並列部分 20×30÷(20+30)=12Ω → 全体 3+12=15Ω3Ωに 5×3=15V、並列部分に 5×12=60V(合わせて75V)
並列部分をまとめると全体15Ωで5A。並列部分の60Vが20Ωと30Ωに共通にかかり、3Aと2Aに分かれる

例題:直並列回路の電流と電圧を求める

3Ωの抵抗に、20Ωと30Ωの抵抗を並列にしたものを直列につなぎ、直流75Vを加える。全電流と、20Ω・30Ωそれぞれに流れる電流を求める。

  1. ① 並列部分をまとめる 20×30÷(20+30)=12Ω
  2. ② 全体の合成抵抗 3+12=15Ω
  3. ③ 全電流 75÷15=5A
  4. ④ 並列部分の電圧 5×12=60V 3Ωにかかる電圧は 5×3=15V。15+60=75V で電源電圧と一致する
  5. ⑤ 各抵抗の電流 20Ω:60÷20=3A 30Ω:60÷30=2A

答え:全電流5A、20Ωに3A、30Ωに2A

よくある間違い:並列部分の電圧を求めずに75Vを20Ωにそのままかけると3.75Aとなり誤りです。分かれた電流の和(3+2=5A)が全電流と一致するかで検算できます。

並列回路で電流はどう分かれ、直列回路で電圧はどう分かれる?

並列回路では各抵抗に同じ電圧がかかり、電流は抵抗の逆比に分かれます。20Ωと30Ωの並列なら、電流の比は 30:20=3:2 で、小さい抵抗のほうに多く流れます。

直列回路では同じ電流が流れ、電圧は抵抗の比に分かれます。30Ωと20Ωの直列に100Vを加えると、電圧は60Vと40Vです。この「直列は抵抗に比例して分圧する」性質は、配電理論で単相3線式の中性線が切れたときの電圧を求める計算にもそのまま使います。

消費電力も同じ考え方で比べられます。直列では電流が共通なので P=I²R から抵抗の大きいほうが多く消費し、並列では電圧が共通なので P=V²/R から抵抗の小さいほうが多く消費します。

ブリッジ回路はどこを見れば解ける?

4つの抵抗をひし形に並べ、向かい合う頂点の間に検流計や抵抗をつないだ回路をブリッジ回路と呼びます。向かい合う辺の抵抗の積が等しいとき、ブリッジは平衡し、中央には電流が流れません。

辺の抵抗を順にP、Q、X、Rとし、PとX、QとRが向かい合っているとすると、平衡条件は P×X=Q×R です。未知の抵抗は X=QR/P で求められます。どの辺とどの辺が向かい合っているかを先に確かめるのが、取り違えを防ぐ手順です。

平衡しているブリッジでは中央の抵抗に電流が流れないので、その抵抗を取り外しても回路全体の電流は変わりません。中央の抵抗の値に関係なく、上下2本の経路の並列として合成抵抗を計算できます。

+24V6Ω12Ω3Ω6Ω10Ω0AABC16VD16V向かい合う辺の積 6×612×3=36 → 平衡しているC点・D点はどちらもB点から見て16V。電位差がないので10Ωの電流は0A
向かい合う辺の抵抗の積が等しいとブリッジは平衡し、中央の10Ωには電流が流れない

例題:平衡したブリッジの合成抵抗と電流を求める

A点からB点へ2本の経路がある。上の経路はA側から6Ω・12Ω、下の経路はA側から3Ω・6Ωの直列。上下の経路の中間点どうしを10Ωの抵抗でつなぎ、AB間に直流24Vを加える。

  1. ① 平衡の確認 向かい合う辺の積 6×6=36、12×3=36 等しいので10Ωには電流が流れない
  2. ② 10Ωを外して経路ごとにまとめる 上 6+12=18Ω 下 3+6=9Ω
  3. ③ 並列の合成抵抗 18×9÷(18+9)=6Ω
  4. ④ 電源から流れる電流 24÷6=4A

答え:合成抵抗6Ω、電流4A

よくある間違い:平衡を確かめずに中央の10Ωを直列や並列に組み込んで計算すると、答えが合わなくなります。上下の中間点の電位はどちらもB点から見て16Vで、差がないことからも電流が流れないと分かります。

電線の抵抗は長さと太さでどう変わる?

導体の抵抗は R=ρL/A で表され、長さLに比例し、断面積Aに反比例します。ρは抵抗率と呼ばれる材料ごとの値で、軟銅は20℃でおよそ1.72×10⁻⁸Ω・mです。計算では、問題文に示された抵抗率の値を使います。

電線の太さは直径で表すことが多く、断面積は A=πD²/4 です。直径が2倍になると断面積は4倍、抵抗は4分の1になります。直径1.6mmと2.0mmの軟銅線を比べると、断面積の比は (2.0/1.6)²≒1.56 で、2.0mmのほうが抵抗は0.64倍に下がります。

単位の扱いでつまずきやすい分野です。直径をmmで与えられたらmに直してから2乗し、面積をm²にそろえます。mm²のまま計算したい場合は、抵抗率をΩ・mm²/mの単位にして使います(1.72×10⁻⁸Ω・m=0.0172Ω・mm²/m)。

金属の抵抗は温度が上がると大きくなります。電線に大きな電流を流して熱くなると抵抗が増え、損失も増えます。配線設計で電線ごとに許容電流が決められているのは、この発熱で絶縁物を傷めないためです。

直径D直径2D長さL長さL断面積A断面積4AR=ρL/AA=πD²/4ρ:抵抗率L:長さA:断面積長さ 2倍→ 抵抗 2倍断面積 2倍→ 抵抗 1/2直径 2倍 → 断面積 4倍→ 抵抗 1/4
抵抗は長さに比例し、断面積に反比例する。直径が2倍なら断面積は4倍で、抵抗は4分の1

例題:電線1本の抵抗を求める

直径1.6mm、長さ50mの軟銅線の抵抗を求める。軟銅の抵抗率は1.72×10⁻⁸Ω・mとする。

  1. ① 直径をmに直す 1.6mm=1.6×10⁻³m
  2. ② 断面積 π×(1.6×10⁻³)²÷4≒2.01×10⁻⁶m²
  3. ③ 抵抗 1.72×10⁻⁸×50÷(2.01×10⁻⁶)≒0.43Ω

答え:約0.43Ω

よくある間違い:直径を半径と取り違えて πD² で面積を出すと、断面積が4倍になり、抵抗は約0.11Ωと小さく出ます。

電力・電力量・熱量はどうつながる?

電力は1秒あたりに使われるエネルギーで、P=VI〔W〕です。オームの法則を代入すると P=I²R=V²/R とも書け、問題で与えられた量に合わせて使い分けます。

電力量は電力と時間の積で、W=Pt です。1kWの機器を1時間使うと1kWh(キロワット時)です。1Wを1秒使うと1J(ジュール)なので、1kWh=1,000W×3,600s=3,600,000J、1kWh=3,600kJ になります。

抵抗で消費された電力量はすべて熱に変わります。これをジュール熱と呼び、発熱量は Q=3,600Pt〔kJ〕(Pの単位はkW、tの単位は時間h)で求めます。水を温めるときは、この熱量を「質量×比熱×温度上昇」と等しいとおきます。水の比熱は約4.2kJ/(kg・K)で、1kgの水を1K上げるのに約4.2kJが必要です。

定格電圧で使わない機器の電力にも注意します。抵抗値が一定なら電力は電圧の2乗に比例するので、定格100V・1kWのヒーターを90Vで使うと、0.9²=0.81倍の810Wになります。

例題:電熱器で水を温める時間を求める

消費電力2kWの電熱器で、25kgの水を20℃から60℃まで温める。熱効率は70%、水の比熱は4.2kJ/(kg・K)とする。

  1. ① 水に必要な熱量 25×4.2×(60−20)=4,200kJ
  2. ② 1時間に水へ伝わる熱量 2×3,600×0.7=5,040kJ
  3. ③ 必要な時間 4,200÷5,040≒0.833h=50分

答え:50分

よくある間違い:熱効率を掛けずに計算すると35分となり、実際より短く見積もってしまいます。

職場ではどう使う?

電線の抵抗の計算は、配線の電圧降下を見積もるときに毎回使います。分電盤から30m先の20Aの負荷に直径2.0mmのVVFケーブルを使うと、電線1本の抵抗は長さと断面積から約0.16Ωと求まり、往復で約6.6Vの電圧降下が見込めます。

電気温水器の設置では、発熱量の計算が機器選定の根拠になります。300Lの貯湯タンクの水を15℃から65℃まで上げるには 300×4.2×50=63,000kJ、電力量にして17.5kWhが要ります。夜間の8時間で沸かすなら、効率を考えずに見ても約2.2kW以上のヒーターが必要です。

回路計(テスタ)で抵抗を測るときも合成抵抗の考え方が関わります。測りたい抵抗に別の回路が並列につながったままだと合成抵抗を読んでしまうため、測る部分を回路から切り離してから測ります。

試験ではどう問われる?

直並列回路の合成抵抗や、ある抵抗に流れる電流・かかる電圧・消費電力を問う形が中心です。誤りの選択肢は、並列の逆数に戻し忘れた値、電源電圧をそのまま1個の抵抗にかけた値、隣の抵抗の電流など、途中の計算を1か所まちがえると出る数値で作られます。

電線の抵抗では、直径と断面積の関係が問われます。直径を2倍・長さを2倍にしたときの倍率のように文字で聞かれることもあり、断面積が直径の2乗に比例する点を落とすと外れます。

電力量と熱量では、分をそのまま時間として掛けた値、3,600を掛け忘れた値、熱効率を反映しない値が誤りの選択肢になりやすいです。単位を書きながら計算すると、この種の取り違えに気づきやすくなります。

よくある質問

並列の合成抵抗を早く計算するコツは?

2個なら「積÷和」、同じ値のn個ならR/nを使います。結果がいちばん小さい抵抗より小さくなっているかを見れば、逆数の戻し忘れに気づけます。

直径が2倍の電線は抵抗が何倍になる?

同じ材質・同じ長さなら4分の1です。断面積が直径の2乗に比例して4倍になるためです。

1kWhは何kJ?

3,600kJです。1kWを3,600秒使った電力量なので、1,000W×3,600s=3,600,000J になります。

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 電気技術者試験センターの公式情報で確認してください。