第二種電気工事士(学科)/一般問題

許容電流と幹線・分岐回路の設計:電動機の割増し・3m/8mの条件・組合せ表

電線の許容電流と電流減少係数、幹線の太さと過電流遮断器の選び方、分岐回路の過電流遮断器の位置と電線・コンセントの組合せを、電技解釈の条文に沿って説明します。

電線の許容電流はどう決まる?

許容電流は、電線に流し続けても絶縁物が傷まない電流の上限です。電技解釈第146条では、600Vビニル絶縁電線などの許容電流を導体の太さごとに表で定めています。軟銅の単線なら直径1.6mmで27A、2.0mmで35A、2.6mmで48Aです。

絶縁電線を電線管に収めると熱が逃げにくくなるので、表の値に電流減少係数を掛けます。同じ管に入れる電線が3本以下なら0.70、4本なら0.63、5本または6本なら0.56です。直径1.6mmの電線3本を金属管に入れると、27×0.70=18.9A になります。

周囲温度が30℃を超える場所では、さらに許容電流補正係数を掛けます。耐熱性でないビニル絶縁電線の場合は √((60−θ)/30) で、θは周囲温度です。30℃以下なら係数は1です。

3本0.704本0.635本0.566本0.56同一管内の電線数係数3本以下0.704本0.635〜6本0.567〜15本0.49電技解釈146-4表例:直径1.6mm(許容電流27A)を3本収める → 27A×0.70=18.9A
管に収める電線が多いほど熱が逃げにくく、許容電流に掛ける係数が小さくなる
直径1.6mm/2.0mm/2.6mm/3.2mm(単線)27A/35A/48A/62A
断面積2mm²/3.5mm²/5.5mm²(より線)27A/37A/49A
断面積8mm²/14mm²(より線)61A/88A
電流減少係数(同一管内の電線数)3本以下0.70/4本0.63/5〜6本0.56/7〜15本0.49

例題:金属管に入れた電線の許容電流を求める

直径2.6mmの600Vビニル絶縁電線(軟銅線)5本を同じ金属管に収める。周囲温度は30℃以下とする。

  1. ① 表の許容電流 直径2.6mm → 48A
  2. ② 電流減少係数 5本 → 0.56
  3. ③ 掛け合わせる 48×0.56=26.88≒26.9A

答え:約26.9A

よくある間違い:5本を「3本以下」の0.70で計算すると33.6Aとなり、実際より大きく見積もってしまいます。

幹線の許容電流はどう選ぶ?

幹線は、引込口の開閉器から分岐回路の過電流遮断器までをつなぐ配線です。幹線の電線の許容電流は、そこから電気を受ける機器の定格電流の合計以上にします(電技解釈第148条)。

電動機のように起動電流が大きい機器(電動機等)がある場合は割増しをします。電動機等の定格電流の合計が、他の機器の定格電流の合計より大きいときに限り、電動機等の合計が50A以下なら1.25倍、50Aを超えるなら1.1倍し、他の機器の合計を足します。

電動機等の合計が他の機器の合計以下なら、割増しはせずに単純な合計です。電動機20A・電熱器30Aなら、許容電流は50A以上あればよいことになります。割増しの係数を掛けるのは電動機等の分だけで、電熱器の分には掛けません。

需要率や力率が明らかな場合は、それで修正した値を使えるとも定められています。練習問題では、この修正はしない前提で計算します。

電動機等の定格電流の合計 IM他の機器の定格電流の合計 IHIM>IH?いいえIW ≧ IM+IH(割増しなし)はいIM≦50A?はいいいえIW ≧ 1.25IM+IHIW ≧ 1.1IM+IH幹線を保護する過電流遮断器の定格(電動機等がつながるとき)≦ 3IM+IH かつ ≦ 2.5IW → 小さいほうを選ぶIW:幹線の許容電流。例 電動機 10A+15A、電熱器 12A → 25×1.25+12=43.25A 以上
電動機等の合計が他の機器より大きいときだけ割増しし、50A以下なら1.25倍、超えれば1.1倍

例題:電動機がある幹線の許容電流を求める

定格電流10Aと15Aの三相電動機が各1台と、定格電流12Aの三相電熱器が1台つながる幹線。需要率等による修正はしない。

  1. ① 大小を比べる 電動機等 10+15=25A > 他の機器 12A
  2. ② 係数を決める 25Aは50A以下 → 25×1.25=31.25A
  3. ③ 他の機器を足す 31.25+12=43.25A

答え:許容電流43.25A以上

よくある間違い:全体の37Aに1.25を掛けると46.25Aとなり、必要以上に太い電線を選ぶことになります。割増しを忘れた37Aでは規定を満たしません。

幹線の過電流遮断器の定格はどこまで大きくできる?

幹線を保護する過電流遮断器の定格電流は、原則として幹線の許容電流以下です。ただし電動機等がつながる場合は、始動時の大きな電流で遮断器が動作しないよう、次の値まで大きくできます。

上限は「電動機等の定格電流の合計×3+他の機器の定格電流の合計」です。この値が幹線の許容電流の2.5倍を超えるときは、許容電流の2.5倍が上限になります。2つの値を両方計算して小さいほうを選ぶ、と覚えておけば迷いません。

幹線の許容電流が100Aを超え、計算した値が過電流遮断器の標準定格にないときは、すぐ上の標準定格のものを選べます。

例題:幹線の過電流遮断器の定格の上限を求める

電動機等の定格電流の合計30A、他の機器の合計8A。幹線の許容電流は49A。

  1. ① 許容電流の確認 必要な値 30×1.25+8=45.5A ≦ 49A
  2. ② 3倍の式 30×3+8=98A
  3. ③ 2.5倍の式 49×2.5=122.5A
  4. ④ 小さいほうを選ぶ 98A

答え:98A以下

よくある間違い:電熱器分まで3倍すると114Aとなり誤りです。

分岐回路の過電流遮断器はどこに付ける?

分岐回路の過電流遮断器は、幹線との分岐点から電線の長さで3m以下の箇所に付けるのが原則です(電技解釈第149条)。分岐点から遮断器までの細い電線は、幹線側の大きな遮断器でしか守られないためです。

分岐点から遮断器までの電線を太くすれば、この距離をのばせます。電線の許容電流が幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の35%以上なら8m以下、55%以上なら長さの制限はありません。

判定は「分岐する電線の許容電流÷幹線の過電流遮断器の定格」の割合で行います。幹線の遮断器が100Aのとき、許容電流30Aの電線なら30%で3m以下、40Aなら40%で8m以下、56Aなら56%で制限なしです。

幹線を保護する過電流遮断器(定格 IB)B:分岐回路の過電流遮断器IB幹線分岐点B3m以下B8m以下B長さの制限なし3m以下(電線の太さの条件なし)8m以下許容電流 ≧ 0.35IB(35%以上)制限なし許容電流 ≧ 0.55IB(55%以上)例:IB=75A、許容電流35A → 35÷75≒46.7%(35%以上55%未満)→ 8m以下
分岐点から分岐回路の過電流遮断器までの長さは、電線の許容電流とIBの割合で決まる

例題:分岐点から遮断器までの長さの上限を求める

幹線を保護する過電流遮断器の定格が75A。分岐点から遮断器までに直径2.0mmの600Vビニル絶縁電線を使い、電流減少係数は考えない(許容電流35A)。

  1. ① 割合を出す 35÷75≒0.467=46.7%
  2. ② 区分に当てはめる 35%以上55%未満 → 8m以下

答え:8m以下

よくある間違い:許容電流を分岐回路側の遮断器の定格で割ると判定を誤ります。基準は幹線を保護する側の遮断器です。

分岐回路の電線とコンセントはどう組み合わせる?

分岐回路は、保護する過電流遮断器の定格電流で種類が分かれ、使う電線の太さとつなげるコンセントが決まっています(電技解釈149-1表・149-3表)。過電流遮断器の定格は50A以下です。

表の読み方で落としやすいのは2点です。同じ20Aでも、配線用遮断器なら直径1.6mmでよく、ヒューズなど配線用遮断器以外なら直径2mmが必要です。もう1つは、30A・40A・50Aの回路では1段下の定格のコンセントもつなげることで、30Aの回路には20Aのコンセントを使えます。

30Aの回路に15Aのコンセントはつなげません。15Aのプラグが挿さるコンセントを30Aの遮断器で守ると、プラグやコードに過大な電流が流れても遮断器が動作しないから、と考えると覚えやすくなります。

過電流遮断器(分岐回路の種類)軟銅線の太さコンセント15A以下直径1.6mm15A以下15A超20A以下の配線用遮断器直径1.6mm20A以下15A超20A以下(配線用遮断器以外)直径2mm20A ※20A超30A以下直径2.6mm20A以上30A以下 ※30A超40A以下断面積8mm²30A以上40A以下40A超50A以下断面積14mm²40A以上50A以下同じ20Aの区分でも、配線用遮断器なら直径1.6mm、それ以外(ヒューズなど)なら直径2mm※ 20A未満のプラグが挿せるものを除く電技解釈149-1表・149-3表をもとに作成
分岐回路は過電流遮断器の定格で種類が決まり、電線の太さとつなげるコンセントが決まる
15A以下直径1.6mm/コンセント15A以下
15A超20A以下の配線用遮断器直径1.6mm/コンセント20A以下
15A超20A以下(配線用遮断器以外)直径2mm/コンセント20A(20A未満のプラグが挿せるものを除く)
20A超30A以下直径2.6mm/コンセント20A以上30A以下(20A未満のプラグが挿せるものを除く)
30A超40A以下断面積8mm²/コンセント30A以上40A以下
40A超50A以下断面積14mm²/コンセント40A以上50A以下

引込口の開閉器はいつ省略できる?

低圧屋内電路には、引込口に近く容易に開閉できる箇所に開閉器を設けるのが原則です(電技解釈第147条)。使用電圧300V以下で、定格電流15A以下の過電流遮断器、または15Aを超え20A以下の配線用遮断器で保護された他の屋内電路につながる、長さ15m以下の電路から電気を受ける場合は省略できます。

母屋の分電盤から離れの物置に1回路だけ引く場合がこの例です。母屋側の20Aの配線用遮断器で守られていて、物置までの電路が15m以下なら、物置側の引込口の開閉器を省けます。

職場ではどう使う?

住宅のコンセント回路は、20Aの配線用遮断器と直径1.6mmのVVFケーブルの組合せで組めます。149-1表で、15Aを超え20A以下の配線用遮断器なら直径1.6mmでよいとされているためです。IHクッキングヒーターのような200Vの大容量機器の専用回路を30Aの配線用遮断器で守る場合は、20Aを超え30A以下の区分に入るので、電線は直径2.6mm以上が必要です。

工場の動力幹線では、電動機の合計が他の機器より大きいかをまず確かめ、割増しの係数を決めます。電動機40A・他の機器10Aなら、幹線は 40×1.25+10=60A 以上が必要です。断面積14mm²(許容電流88A)の電線3本を金属管に入れると 88×0.70=61.6A で条件を満たし、8mm²(61A)では 61×0.70=42.7A で足りません。

試験ではどう問われる?

許容電流では、電流減少係数の本数の区分を入れ替えた値が誤りの選択肢になります。直径で表す単線の表と、断面積で表すより線の表を取り違えないことも大切です。

幹線では、電動機の割増しを全体に掛けた値、50Aの境目で1.25と1.1を取り違えた値、電動機が少ないのに割増しした値が並びます。過電流遮断器では、3倍の式と2.5倍の式の片方だけを使った値が典型的な誤りです。

分岐回路では、分岐点からの長さ(3m・8m・制限なし)と割合(35%・55%)の組合せ、過電流遮断器・電線の太さ・コンセントの組合せの正誤が問われます。組合せの問題は、遮断器の定格から電線とコンセントを1つずつ確かめると確実です。

よくある質問

電流減少係数は何本から変わる?

3本以下が0.70、4本が0.63、5本または6本が0.56、7本以上15本以下が0.49です(電技解釈146-4表)。

幹線で電動機を1.25倍するのはどんなとき?

電動機等の定格電流の合計が他の機器の合計より大きく、かつ50A以下のときです。50Aを超えると1.1倍になり、他の機器のほうが大きければ割増しはしません。

20Aの配線用遮断器の回路に15Aのコンセントは使える?

使えます。15Aを超え20A以下の配線用遮断器の分岐回路には、20A以下のコンセントをつなげます(電技解釈149-3表)。

読んだあとにやること

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 電気技術者試験センターの公式情報で確認してください。