第二種電気工事士(学科)/一般問題
電気機器と配線器具:電動機・遮断器・点滅器・照明のしくみ
三相誘導電動機の回転速度と逆転、始動と力率改善、配線用遮断器と漏電遮断器の違い、3路スイッチや表示灯内蔵スイッチ、照明器具の特徴を、試験で問われる形に沿って整理します。
三相誘導電動機の回転速度と向きは何で決まる?
回転速度は電源の周波数と極数で決まり、回転の向きは電源の相順で決まります。固定子の巻線に三相交流を流すと回転磁界ができ、その速さを同期速度と呼びます。
同期速度はNs=120f/p〔min⁻¹〕で表され、fは周波数、pは極数です。4極の電動機を50Hzで使うと120×50÷4=1,500 min⁻¹、60Hzなら1,800 min⁻¹になります。回転子は回転磁界より少し遅れて回るので、実際の回転速度はこの遅れ(すべり)の分だけ同期速度より低くなります。
50Hzの地域で使っていた電動機を60Hzの地域へ移すと、同期速度は1.2倍になります。ポンプやファンは流量も変わるので、移設のときは回転速度の変化を見込んで機械側を確かめます。
回転の向きを逆にするには、電源につながる3本の線のうち、どれか2本を入れ替えます。相順が逆になり、回転磁界の向きが反対になるからです。3本を順送りにずらす入れ替えでは相順が変わらないので、向きも変わりません。
例題:6極の電動機を60Hzで使うときの同期速度を求める
極数 p=6、電源の周波数 f=60Hz
- ① 式を選ぶ Ns=120f/p fは周波数、pは極数
- ② 数値を入れる Ns=120×60÷6=1,200 単位は min⁻¹
答え:1,200 min⁻¹
よくある間違い:極数6を極対数の3と取り違えると2,400 min⁻¹になります。実際の回転速度は、すべりの分だけこの値より低くなります。
スターデルタ始動と力率改善用コンデンサは何のために付ける?
スターデルタ始動は始動のときに流れる大きな電流を抑えるため、力率改善用コンデンサは電源から流れる電流を減らすために付けます。
かご形三相誘導電動機を直入れで始動すると、回り始めるまでの間、定格電流よりずっと大きな電流が流れます。始動のときだけ固定子巻線をスター結線にし、回転が上がったらデルタ結線に切り替えると、巻線1相にかかる電圧が1/√3になり、電源から流れる始動電流は直入れの約1/3になります。始動トルクも約1/3に下がるので、重い負荷をつないだまま始動する用途には向きません。
電動機には電圧より位相が遅れた電流が流れ、力率が1より小さくなります。電動機と並列に低圧進相コンデンサを接続すると、コンデンサの進み電流が遅れ電流を打ち消し、同じ有効電力を送るのに必要な電流が小さくなります。配線の電力損失と電圧降下は減りますが、電動機そのものの回転速度や出力は変わりません。
配線用遮断器・漏電遮断器・電磁開閉器は何が違う?
何を検出して回路を切るかが違います。配線用遮断器は過電流、漏電遮断器は地絡、電磁開閉器の熱動継電器は電動機の過負荷を検出します。
配線図の問題には、漏電遮断器を定格感度電流30mA・動作時間0.1秒以内のものとして扱うという注意書きが付きます(電気技術者試験センター配線図の例題ページ)。0.1秒で動作するので、接地工事の問題に出てくる「0.5秒以内に自動遮断する装置」の条件を満たします。
ヒューズは過電流で可溶体が溶けて回路を切るので、動作したら交換が必要です。配線用遮断器はハンドルを戻せば再び使えるので、住宅の分電盤の分岐回路には配線用遮断器が並びます。
| 配線用遮断器 | 過負荷や短絡の過電流で自動的に回路を切る。原因を取り除けばハンドルを戻して再使用できる。 |
|---|---|
| 漏電遮断器 | 零相変流器で行きと帰りの電流の差を検出し、地絡があると回路を切る。テストボタンで動作を確認できる。過負荷保護付のものは過電流でも動作する。 |
| 電磁開閉器 | 電磁接触器と熱動継電器(サーマルリレー)を組み合わせたもの。押しボタンで電動機を運転・停止し、過負荷が続くと熱動継電器が回路を開く。 |
| ヒューズ | 過電流で可溶体が溶けて回路を切る。動作したら交換する。 |
点滅器はどう使い分ける?
何か所から点滅するか、スイッチに何を表示させたいか、自動で点滅させたいかで選びます。
2か所から同じ照明を点滅するときは3路スイッチを2個使い、2本のわたり線で結びます。3か所以上のときは両端を3路スイッチ、その間を4路スイッチにし、4路スイッチの数を増やせば点滅できる場所をいくつでも増やせます。
表示灯を内蔵した点滅器は2種類あり、光る条件が逆です。位置表示灯内蔵スイッチ(配線図の傍記H)はスイッチが切れているときに光り、暗い廊下でスイッチの場所を示します。確認表示灯内蔵スイッチ(傍記L)はスイッチが入って負荷に電気が送られているときに光り、屋外灯や換気扇のように見えない負荷の運転を確かめるのに使います。
自動で点滅させる器具には、人体から出る熱線(赤外線)の変化で点灯する熱線式自動スイッチ、周囲の明るさで点滅する自動点滅器、設定した時刻に入り切りするタイムスイッチ、スイッチを切ってからしばらくして消える遅延スイッチがあります。明るさを変えるのは調光器で、点滅を自動にする器具とは役目が違います。
コンセントと照明器具では何を見分ける?
コンセントは抜け止め・引掛・接地極付などの構造、照明器具は光る仕組みと点灯に必要な部品を見分けます。
抜け止め形コンセントは一般のプラグを差し込んでから回すと抜けなくなり、引掛形は専用の引掛形プラグを差し込んで回して固定します。接地極付コンセントは接地極付プラグと組み合わせて機器の外箱を接地できます。雨がかかる屋外には防雨形(傍記WP)を使います。
グロースタータ式の蛍光灯は、点灯管でフィラメントを予熱してから点灯します。インバータ式は電子回路で電源より高い周波数に変えて点灯するので、ちらつきが目立たず効率も高く、点灯管を待たずにすぐ点きます。LEDは半導体の発光素子で、同じ明るさなら白熱電球より消費電力が小さく寿命も長くなります。水銀灯やメタルハライド灯などの高輝度放電灯は安定器が必要で、点灯してから明るさが安定するまでに時間がかかります。
職場ではどう使う?
ビル設備の現場では、揚水ポンプや空調機の三相200V電動機の保守が日常の仕事です。更新工事で配線をやり直したあとの試運転でポンプが逆に回っていたら、電磁開閉器の二次側で2本の線を入れ替えて直します。配線をつなぐ前に検相器で電源の相順を確かめておけば、この手戻りは防げます。
店舗や住宅からは、分電盤の漏電遮断器がたびたび落ちるという相談がよく来ます。テストボタンで遮断器そのものが正常に動くかを確かめてから、分岐回路の配線用遮断器を1つずつ切って、どの回路で地絡が起きているかを探します。3か所から廊下の照明を点滅したいという依頼には、3路スイッチ2個と4路スイッチ1個で回路を組みます。
試験ではどう問われる?
電動機では、同期速度の計算で極数と周波数を取り違えた数値、3本とも入れ替える逆転方法、スターデルタ始動の約1/3を1/√3にした記述、始動と運転の結線を逆にした記述が誤りの選択肢になりやすい型です。コンデンサでは、回転速度や出力が上がるという記述が典型です。
遮断器では、配線用遮断器と漏電遮断器の検出するもの(過電流と地絡)を入れ替えた記述や、ヒューズの交換が必要という性質を配線用遮断器に混ぜた記述がよく使われます。点滅器では位置表示灯と確認表示灯の光る条件を逆にした記述、照明ではLEDに点灯管が要るとするような部品の取り違えが出ます。本番では器具の写真から名称や用途を問われるので、名称から用途、用途から名称の両方向で答えられるようにしておきます。
よくある質問
三相誘導電動機を逆回転させるにはどうする?
電源につながる3本の線のうち、どれか2本を入れ替えます。相順が逆になり、回転磁界の向きが反対になるためです。3本とも順送りにずらしても相順は変わらず、向きもそのままです。
位置表示灯内蔵スイッチと確認表示灯内蔵スイッチの違いは?
位置表示灯はスイッチが切れているときに光り、暗い所でスイッチの場所を示します。確認表示灯はスイッチが入って負荷が動いているときに光ります。配線図の傍記は位置表示灯内蔵がH、確認表示灯内蔵がLです。
配線用遮断器と漏電遮断器は何が違う?
配線用遮断器は過負荷や短絡の過電流を検出して回路を切り、漏電遮断器は零相変流器で地絡を検出して回路を切ります。過負荷保護付の漏電遮断器は両方の働きを持っています。
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、過去の試験問題の本文・選択肢・数値は使用していません。 最新の法令と試験の内容は一般財団法人 電気技術者試験センターの公式情報で確認してください。